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発売年月日:2012/06/25
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社会人になってから、たくさんのビジネス書を読んできました。
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本の中身を詳しく知りたくなった方は、ぜひ書店でお買い求めください!
本書の目次
序章 手強い敵
第1章 良い戦略、悪い戦略
- 良い戦略は驚きである
- アップル
- 「砂漠の嵐」
- 強みを発見する
- ダビテとゴリアテ
- ウォルマート
- アメリカの国防計画
- 悪い戦略の四つの特徴
- 悪い戦略の見本 ― アメリカの国家安全保障戦略
- 悪い戦略の特徴1 空疎である
- 悪い戦略の特徴2 重大な問題に取り組まない
- 悪い戦略の特徴3 目標を戦略ととりちがえている
- 悪い戦略の特徴4 まちがった戦略目標を掲げる
- 悪い戦略がはびこるのはなぜか
- 困難な選択を避ける
- 穴埋め式チャートで戦略をこしらえる
- 成功すると考えたら成功する
- 良い戦略の基本構造
- 1 診断
- 2 基本方針
- 3 行動
第2章 良い戦略に活かされる強みの源泉
- テコ入れ効果
- 的確な予測でテコ入れ効果を引き出す
- テコの支点を選ぶ
- 集中によってテコ入れ効果を得る
- 近い目標
- 曖昧さをなくす
- 足場を固め選択肢を増やす
- 目標設定には階層がある
- 鎖構造
- 鎖構造の問題点
- 鎖構造問題の解決
- 鎖構造を強みにする
- 設計
- 戦略の父ハンニバル
- 最高の組み合わせを探す
- 戦略的リソース
- パッカーの戦略
- フォーカス
- 成長路線の罠と健全な成長
- 優位性
- ゴリラとのレスリング
- ビジネスにおける競争優位
- 「おもしろみ」のある競争優位
- 価値の創造
- ダイナミクス
- うねりの気配を感じとる
- 変化の原動力をみきわめる
- うねりに乗ったシスコ・システムズ
- うねりを察知するためのヒント
- 慣性とエントロピー
- 慣性
- エントロピー
- すべての強みをまとめる―NVIDIAの戦略
- 3Dグラフィックス技術の発展
- ゲーマーの願望
- エヌビディアの戦略
- ライバルの脱落
- 今後の展望
第3章 ストラテジストの思考法
- 戦略と科学的仮説
- 戦略とは仮説である
- 啓蒙思想と科学
- アノマリー
- エスプレッソのアノマリー
- コーヒー文化のちがい
- 仮説の検証
- 独自情報の価値
- 戦略思考のテクニック
- リストを作成する
- 第一感を疑う
- 戦略思考のテクニック
- 判断力を鍛える
- 自らの判断を貫く
- グローバル・クロッシング ― 市場の過信
- 世界金融危機 ― 群れる心理と内部者の視点
謝辞
訳者あとがき
本書のポイント
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これが分かればバッチリ…!
ポイントは「当たり前のことを当たり前のようにすることが大事。企業であっても個人であっても本質は同じ」ということ
当たり前のことを当たり前のようにすることが大事。日々の生活に置き換えたら分かることでも、企業経営や事業運営に置き換えた途端、特別なものに感じてしまう。本質は同じだということを理解することが良い戦略をつくる最初の一歩になるのではないでしょうか。
戦略策定の本質は変わらないもののようです。重要なのは、現状を正しく分析し、特に注力すべきポイントを見極め、経営資源(ヒト・モノ・カネ・行動)を集中させることです。
戦略は単なる目標設定ではなく、組織が直面する重大な課題や困難を解決するためのものです。「今、何をすべきか」が明確でなければ、優れた戦略とは言えません。戦略と目標を混同してしまうと、実行段階でつまずくことが多いようです。重要なのは、目標達成のための具体的な道筋を描くことだといえます。
良い戦略のカーネル(核)
戦略には明確な論理構造が求められます。その核心となるのが 「カーネル」 であり、以下の3つの要素で構成されるようです。
- 診断
- 現状を分析し、組織が取り組むべき重要な課題を特定します。
- 複雑な問題を整理し、優先順位を明確にすることが求められます。
- すでに認められている枠組みとの類似性や共通性の形で示されることが多い。
- 基本方針
- 診断結果をもとに、組織が進むべき方向性を示します。
- 目標やビジョンではなく、戦略的に選択すべき道筋を明確にすることが重要です。
- 良い基本方針は、目標やビジョンではないし、願望の表現でもない。
- 難局に立ち向かう方法を固め、他の選択肢を排除するのが基本方針である。
- 行動
- 基本方針に基づき、具体的なアクションを決定します。
- すべての行動が一貫性を持ち、効果的に機能するよう設計する必要があります。
良い戦略には「近い目標」が不可欠。戦略を実行する際、重要なのが 「近い目標」 です。これは、手の届く範囲にあり、十分に実現可能な目標を指します。
例えば、ジョン・F・ケネディ大統領は月面着陸という高い目標を掲げましたが、それを実現するために、技術開発や段階的な計画を明確に示しました。単に大きな目標を掲げるだけでなく、それを達成するための現実的なステップが必要なのです。
また、リーダーの役割は 「複雑な状況を整理し、実行可能な形に落とし込むこと」 です。遠すぎる目標ではなく、今のリソースで達成可能な目標を定めることが、戦略の成功につながるといえます。
段階的な成長が戦略の鍵となりますので、どの企業も、一足飛びに大きな成果を出せるわけではありません。例えば、小規模なスタートアップが製造や流通の課題を抱えている中で、「欧州市場に進出しよう」といった目標を掲げても、現実的ではないでしょう。まずは国内で事業基盤を固め、次のステップへ進むべきです。
戦略策定では、「今、取り組むべき最優先課題」を明確にし、それをクリアした上で次の段階へ進むことが重要になります。
- 戦略は目標ではなく、目標達成のための道筋を示すものです。
- 優れた戦略には「カーネル(診断・基本方針・行動)」が組み込まれています。
- 実行可能な「近い目標」を設定し、段階的に成長することが成功の鍵となります。
- 戦略は、現実的なリソースの範囲内で進めることが大切です。
戦略の本質を理解し、実行可能な形に落とし込むことで、組織の成長を着実に進められるでしょう。
以下、参考した引用です。
戦略で重要なのは、意思決定を下す人の地位ではない。組織の存亡にかかわるような重大な課題や困難に対して立てられるものであり、それらと無関係に立てられた目標とは異なる。戦略とは、そうした重大な課題に取り組むための分析や行動指針の集合体と考えれば良い。(中略)良い戦略には、とるべき行動の指針がすでに含まれている。こまかい実行手順が示されているわけではないが、やるべきことが明確になっている。「いま何をすべきか」がはっきりと実現可能な形で示されていない戦略は、欠陥品と言わざるを得ない。「実行面に問題がある」と嘆く経営者は、たいていは戦略と目標設定を混同している。
P10
目標だけを立てたら、願望と行動の間にギャップができるのは当然と言えよう。戦略とは、組織が前に進むにはどうしたらよいかを示すものである。戦略を立てるとは、組織にとって良いこと、好ましいことをどうやって実現するかを考えることである。もちろん、リーダーが目標を立て、それをどう実現するかは部下に任せる、という方法はあり得る。だがこれは、戦略ではない。そうやって組織運営をしている経営者は、戦略を立てずに単に目標設定をしているのである。(中略)良い戦略には、しっかりした論理構造がある。私はこれを「カーネル(核)」と呼んでいる。戦略のカーネルは、診断、基本方針、行動の三つの要素で構成される。状況を診断して問題点を明らかにし、それにどう対処するかを基本方針として示す。
P11
さまざまな行動をコーディネートすること自体が、それとして一つの優位性となりうる。この点は、とかく過小評価されているようだ。これは、コーディネーションというものが相互の妥協だと捉えられているせいだろう。だが戦略的なコーディネーションは一貫性を実現するものであって、場当たり的な妥協や融通ではない。どの部品をどのように組み合わせるかを設計するように、どのリソースをどの行動に割り当てるかを設計しなければならない。
P128,129
「条件を指定しない限り、技術者は何もできない」というフィリスの慧眼は、組織的に行う仕事の大半に当てはまる。サーベイヤーの設計チームと同じく、どんなプロジェクトでも状況が完全に解明されているということはめったにない。このようなとき、リーダーは複雑で曖昧な状況を整理して、何とか手のつけられる状況に置き換えなければならない。だが多くのリーダーがここでつまずいてしまう。何に取り組めばよいのか曖昧なままにして、むやみに高い目標を掲げてしまうことが多い。「最後の責任は自分がとる」と言うだけでなく、近い目標を設定してチームが動けるようにすることがリーダーの大切な使命である。(中略)戦略本の多くが、状況が流動的になったらリーダーはより先を見越して手を打たなければならない、と説く。だが、このような指示は論理的とは言えない。状況が流動的になればなるほど、先は見通しにくいからだ。したがって、絶えず変化する先行き不透明な状況では、むしろより近い目標を定めなければならない。目標は将来予測に基づいて立てるものだが、将来が不確実であるほど、遠くを見通すよりも「足場を固めて選択肢を増やす」ことが重要になる。
P152,153
あることにだけ集中する、すなわち最重要課題に優先的に取り組むためには、他の重要なことがクリアできていなければならない。PJがヘリと船のタイミングを合わせることだけに集中できるのは、初歩から始めて段階を踏み、飛ぶことがすでに機械的にできる作業となっているからである。
P157,158
このように、近い目標とは梯子を上るようなものと考えることができる。最初の段にしっかり足をかけなければ、次の段に上がることはできない。とりわけ、たくさんのスキルを必要とする場合にそう言える。ヘリコプター・パイロットが操縦スキルを段階的に身につけていくように、企業経営でもある種のスキルは段階的に備わっていく。ある企業にとっては近い目標として集中できることも、他の企業にとって遠すぎることがあるのは、このためだ。したがって、例えば小さなスタートアップ企業が製造と流通の連携に問題を抱えているときに、欧州進出で売上を伸ばせなどとアドバイスするのは的外れである。こういう企業は、まず「ヘリを飛ばす」ことを学ばなければならない。それができるようになってから、海外展開を視野に入れるべきである。同様に、海外進出を果たしたばかりの企業に対して、P&Gのようなナレッジ・マネジメントをやれというのも的外れだ。まずは異なる言語や文化の中での事業経営に習熟しなければならない。それをマスターして初めて知識や情報を活かせるようになる。
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